こんにちは。私は翻訳者のアンです(プロフィールはこちら)。
今回は最近私が読んでとても良いと思った翻訳関係の本をご紹介します。タイトルは「赤毛のアンの翻訳レッスン」で、著者は翻訳家の河野万里子さんです。
どんな本?
1997年にバベル・プレスから出版された本です。今は絶版となっており新品は買えないです。
翻訳関係の本をたくさん読みたいなあ~と思ってネットで色々探しているうちに中古のものを発見。おもしろそう、勉強になりそうと思ってすぐに買いました。
1000円未満で中古のものが買えると思います。日本の古本屋やアマゾン、メルカリなどをチェックするといいです。
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文芸翻訳がテーマだけど翻訳をする人、したい人なら誰にとっても勉強になる
私がやっているのは産業翻訳で文芸翻訳はまだやったことがないのですが、ずっと前から文芸翻訳もいつかはやってみたい…!と思ってました。
それがこの本を読もうと思った理由のひとつでもあるんですが、実際に読んでみると「文芸翻訳をやっている人はこんなことを考えたり、こうやって工夫したりしているんだ」という発見がたくさんあってとても興味深かったです。
それと同時に、文芸翻訳ってかなり難しそうだと思いました。
この本に書いてあることは、高度な技術文書などの翻訳とはあまり関連がないかもしれないけど、マーケティング翻訳をするときには参考になりそうだなと思いました。
マーケティング翻訳でも人の感情や気持ちを動かすような文章が大事だと思うので。
でもどの分野の翻訳をやっている人でも、もう一度翻訳についてじっくり考えてみるきっかけになる良い本だと思います。
外国語学習にも役立ちそうな内容
著者の河野万里子さんは上智大学でフランス語を専攻されていたようで、英語の本だけでなくフランス語の本も翻訳されてきたそうです。
そんな河野万里子さんがどのように外国語を学習されていたのかについても、ところどころに説明してあり、それもおもしろかったです。実際、読んだ後に自分の外国語学習に取り入れてみました。
励まされてる気持ちになるので疲れてるときもおすすめ
この本の内容は読み手を励ますようなものになっています。だから翻訳の勉強が上手く進まないとか、翻訳の仕事に疲れたとか、人生に行き詰っているとか、そんな人も元気をもらえるのではないかと思います。
私の場合は「翻訳の仕事に疲れた」時に読みましたがすごく癒されて肩の力が抜けました。
翻訳を本業にしている私は、翻訳にやりがいを感じる一方でいろいろなストレスも感じています。
レビューアーによって翻訳についてのコメントが違って混乱したり、納期が厳しかったり、仕事の量が一定じゃないので不安になったりと、そういうストレスです。
そんな風に苦しい時は、この本に書いてあるように考えればいいな~と思いました。
「赤毛のアン」は難しい
「赤毛のアン」は昔日本語で読んだことがあるし、アニメも見たことがあります。英語の原書を読んだことある人なら分かると思いますが「赤毛のアン」てすごく難しいです。
小説や物語などの芸術作品は新聞記事や論文などとは違って、凝った文章で自然とか人物を描写しているので、正確に理解したり、自然な日本語に訳したりするというのは簡単なことではないと思います。
この本は翻訳を勉強している人を励ますような優しい感じの本ですが、「赤毛のアン」自体はとても難しいので、この本で扱っている例文も難しいです。
だからこそ勉強になるし、簡単なことばっかりやっていても力はつかないので良い題材だと思います。
まとめ
今回も私の好きな本をご紹介しました。
文芸翻訳に興味がある人はもちろんのこと、分野関係なく翻訳に興味がある人や翻訳をやっている人、さらには翻訳に疲れた人や人生に疲れた人などなど、いろんな人におすすめします。
仕事や勉強などに追われる生活から少し離れて、「赤毛のアン」の世界に浸ってみると元気が出るかも。