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友達の一言で乗馬への興味を思い出す
人生初の乗馬にチャレンジしてきました。友達と趣味や興味の話をしたのがきっかけで、子供の頃に乗馬を習いたくて習いたくて親にしつこくお願いしたにもかかわらず、乗馬教室の場所や価格の問題で却下されて以来私の中で「やりたくても無理なこと」としていつの間にか片付けられ忘れられてしまっていた「乗馬」を思い出したのです。
この友達は私の長年の親友で、この子に会ったあとは必ず良いことが起こるんです。会ったあとに仕事の依頼がたくさん来るとか。私の人生に良い流れを起こしてくれる存在。神なんだろうか…
今回も友達が私の興味について聞いてくれたとき、頭の中に閃光が走りました。「そういえば私めっちゃ馬に乗りたかったよな」と思い出して、「乗馬がしたかったんだよね~」と言ったら、「今からやればいいじゃん」と背中を押してくれました。あ~私この子の友達でいれてほんと幸せだと思う。いつもいつも言葉が前向きでやさしい。
「そうだ…馬だ!」となんか謎が解けたような気持ちになった。私はもともと大の動物好きで、カメやハムスター、犬と一緒に暮らしていたし、小鳥やフクロウを手に乗せたりするのも大好きです。散歩中に至近距離ですれ違うカラスも全然怖くなくて、むしろ可愛いとさえ思います。
人間よりも動物のほうが好き。でも動物たちとの別れで感じた悲しさのこと、海外で仕事をする可能性などを考えて、長らく動物を飼っていませんでした。
そういえば、動物とのふれあいがない殺伐とした人間社会に何年も身を置いてきたせいで、無意識のうちに心が砂漠っぽくなってきた気がする。そんな私の人生を馬が照らしにやって来そうになっている。友達とはカフェにいたのだけど一緒に乗馬クラブを検索しはじめました。めっちゃ期待してました。もう一度動物のいる生活ができるかもしれないと…!
乗馬クラブで、いざ体験。馬が一目で大好きになる
子供の頃は乗馬クラブもかなり遠くにしかなかったけど、なんと徒歩や自転車でも行ける距離に新たに乗馬クラブができていたことを知ったのです。えー!それならもっと早く気づきたかったな。
そういえば、自分が乗馬をしたかったことをすっかり忘れていたころでさえ、馬の置物にすごく惹かれて買ったりしていたけど、それも心の奥底では乗馬とか馬のことを忘れられなかったからかのかも。
見つけた乗馬クラブにすぐに連絡、体験乗馬を予約。料金には騎乗の料金のほかにヘルメットレンタル料なども含まれており、合計で約5,000円でした。もちろんコーチ付きです。体験時間は約30分でしたが、実際騎乗していたのは15~20分くらいだったと思います。
体験前に、厩舎の前でスタンバイしていたのですが、担当してくれるお馬さんが素晴らしく大きく、美しく、私は完全に負けており、こんな偉大な動物の上に乗せてもらえるなんて…と、恐縮しました。
人間よりはるかに大きな体だけど、耳はちょこんちょこんと、小さい三角のが2つ可愛らしく付いていて、それが周りの音に反応してぴょこぴょこ、クルクルと動くのがまたなんとも可愛らしい。大きな体を支える細いけど強力な4本の足。これは自然に生えてこうなっているのか?わからないけど、すごくきれいに整っているたてがみ。自分の小中学生時代のポニーテールに似てるしっぽ。
あああああ。ようやく夢の、憧れの馬に会えて、乗せてもらえる日がやってきた。乗る前から馬の魅力にやられてしまった。ハートマークに矢が刺さっている絵文字よく見かけますけど、まさにあんな感じ。コーチの「どうぞ」の声に続いて屋内馬場に入るけれど、前を歩く馬のお尻から目が離せない。お尻にも迫力があるし、しっぽもきれい。
屋内馬場に入ると経験者と思われる人が馬に乗って大きく円を描きながら走っていました。私もいよいよ馬の背中に乗ることになりましたが、馬は大きいので台なしでは初心者の私は乗れません。(たしか)左足を鐙の上に乗せて、馬を蹴らないように気を付けながら右足を大きく上げて向こう側に動かして馬にまたがるのですが、この動作がけっこう大変だったいう(笑)。体が硬いから大きく足を上げるの大変!!でも、お馬を蹴りたくなかったから、全神経を集中させました。蹴らずに済んでよかった。
コーチが鞍とか鐙とか、いろいろ調節してくれているみたいだったけど、はじめて馬に乗った私は緊張と興奮でよく理解できず「はい」「はい」とコーチの聞いてくることに答えていました。
はじめて馬に乗った人はその高さにまず驚くみたいだけど、私は高さについてはそんなに怖くなかったです。想像どおりでした。おそらく、昔、馬より高かったと思われるラクダに乗ったことがあるからだと思います。
でも、姿勢が少しでも崩れると落ちてしまいそうなのは怖かったですね。乗っている間はずっとバランスを取ることに集中していました。それでも、馬がゆっくり歩く「並足」はすぐに慣れて「あ~楽しい~。このままいつまでも歩いていたい」って感じでした。コーチに「もう少し肩の力抜きましょうか。人が緊張していると馬も緊張してしまうので」と言われて、自分がすごく緊張しているのに気が付きました。「馬は乗っている人の気持ちがすぐにわかる」というのは前から聞いたことがあったし、緊張している人は苦手というのも知っていたので、「馬の負担にならないように頑張るぞ!」と私なりに気合を入れて挑んだのですが、この気合がむしろ逆効果だったみたいです。乗馬で必要なのは気合いではなくてリラックスなんだな…と思いました。
並足が終わったら、次は馬が小走りしている感じの「速足」に挑戦。これは体感では、「かなりの高速で駆け抜けているに違いない…!私すごいぞ…」と思わせるぐらいに振動がすごく、落ちるのではないかという怖さも並足のときとは2ランクぐらいアップするのですが、乗ってない人から見ると超ゆっくりにしか見えないみたいです。
速足で小さな円を描きながら走ったとき、最初は「これはやばい…!」ととにかく落ちないように必死だったのですが、だいたい4~5周ぐらいしたところで、そこまで必死にならなくても大丈夫になりました。
ただ、景色を楽しむとかいう余裕はまったくなく、もうひとりのお客さんがレッスンを終えて馬場から出ていったのも全然気が付きませんでしたし、家族が馬場で見学していたので視界に入ってきていたはずなのですが、全然見えませんでした。
乗馬中、馬の頭の部分ではなくもっと前方を見ているが良いそうなのですが、緊張していたのと馬の小さな耳がすごく可愛いのでずっと耳を見てしまいました!
コーチから、馬の首をポンポンとたたいてあげるのがほめている合図で、それをしてあげると馬が喜ぶと教わったのでポンポンしてあげたのですが、これも落ちないように少し気を付ける必要がありました。
乗って初めてよくわかったのが、乗馬ってこんなに体力を使うものなんだってことです。すごい全身運動です。仕事柄何時間も座っていることの多い私の鈍った筋肉たちに、心地の良い刺激が加わりました。
あと、お馬の背中に座っているときに伝わってくる体温の温かさがとても気持ち良かったです。
そして、馬から降りるときも一苦労。乗るときよりも大変だったかも。柔軟体操とか、足を上げる練習とかしとくべきだったなって思いました。でもなんとかお馬を蹴らずに降り、私も馬から落ちることなく無事に初の乗馬を楽しむことができました。
締めくくりには、お馬さんにおやつをあげて、撫でられるのが好きだという首の部分を撫でさせてもらいました。馬には鋭い牙はないのですが、ニンジンなどを砕けるほどの強い力があるので、噛まれるとかなり痛い思いをするみたいです。でも指をまっすぐにしておやつを手のひらに置いてあげれば大丈夫。唇でつかむんですが、その唇の感触が柔らかくて柔らかくて、病みつきになります。
「かわいいねー」「いい子だねー」っていうと、あの可愛い小さい耳をぴょこぴょこ動かす。ちゃんと聞いているんですね。そして目が、優しい…。人間であんなに優しい目をしている人は見たことない。深くて優しい目、と言おうか。。。ずっと見ていたくなる、見ているだけで落ち着く、幸せになる目なんです。
馬のお世話はとっても大変だから、料金が高いのは当然
乗馬の料金は高いといわれるけれど、乗馬を体験して、また馬のお世話のことなどをいろいろと調べてみて、私はあの価格は当然か安いかのどちらかだと思います。人を乗せることができるようにトレーニングしたり、大きい体を健康に保つための食べ物を与えたり、十分な運動ができるような土地を確保したり、夏の暑さから守るための対策をとったり、定期的にお医者に診てもらったり、その他諸々、馬一頭のお世話にはたくさんのお金とエネルギーが必要です。だから、あの料金は当然なんだと思うようになりました。馬に青草を送るサービスとかもあるみたいです。私もぜひ青草をプレゼントしたいです。
初乗馬のあと、すぐさま馬関係のYouTubeを見たり、Instagramをフォローしたりしたので、馬のお世話がいかに大変かがわかるようになりました。でも実際にお世話をしている人は、私が想像しているよりも大変なのだと思います。
競争馬のほとんどが殺処分される事実にショック
私知らなかったんですが、競馬の馬は引退後、ほとんどが殺処分となっているということにとても衝撃を受けました。すごく悲しいです。私の初乗馬を担当してくれたお馬さんも元競走馬なんですが、今は引退して一般のお客さんの乗馬サービスを提供してくれています。こういう風にセカンドキャリアを歩むことができる競走馬の方が少なく、大半が殺処分されているとのこと…。前からあまり人間は好きではなかったけど、これを知ってさらに嫌になったし、自分も人間の一人だから動物たちの幸せのために何かしないといけない、という思いが強くなりました。
この悲しい残酷な事実を知らない人は多いと思います。もっと多くの人に知ってもらいたいです。
日本で馬がもっと身近になることを期待
日本で乗馬がもっと広まっていくといいなと強く思います。心がリフレッシュするし、ただ馬に会うだけで、馬にさわるだけで心が癒されます。この癒しは馬じゃないと無理なんです。人間は人間同士で言葉を使っているけど、じゃあ人間が人間の心を癒せるかって言ったらそうじゃないことがほとんどで、人間の言葉を話さない馬はなぜかそれができる。
ちなみに馬以外の動物も人間を癒しますが、背中に乗せてくれる動物であんなに優しい顔をしていて、さらに人の気持ちを見抜いてしまうほどの鋭さや繊細さを持ち合わせているのは馬だけじゃないかと思う。
「ホースセラピー」という言葉も最近よく聞くようになり、馬から得られるプラスの影響が注目されるようになってきています。
私もこれからゆっくり乗馬を楽しんでいきたいと思います。