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MTPEがマーケティング翻訳の分野にも広まりつつあるのか、ある案件が人手翻訳からMTPEに切り替わることになり、それに伴って単価を半分未満にしてほしいと言われました。でも、それはいくらなんでも無理だし、誰がその条件で引き受けるのかとても疑問です。
私たち翻訳者からしたら、今まで対応していた案件が勝手に機械翻訳にかけられ、その品質の良し悪しについて意見を聞いてもらえることすらなく突然単価を半分にすると言われているということです。
これまで何年もの間、半年か1年ごとくらいの頻度でMTの品質をチェックする機会があったけど、劇的に改善されているという印象はありません。やはり訳抜けや誤訳、不自然な箇所があるので人間の翻訳者に頼らざるを得ず、その修正作業もまったく楽ではありません。
今回MTPEに移行することになった案件は難易度が高く、調査が必須です。直訳では使いものにならないけれど原文で言いたいことすべてを日本語で言おうとするととても難しい、という類の英文が多く、推敲にとても時間がかかる案件でした。こういった難易度の高い案件でMTが人間ならしないような変なミスをして翻訳者の思考の邪魔をしてしまうと、翻訳者が一から訳せばしなかった誤訳などをしてしまう可能性もあり、非効率的です。
そして不思議なのが、人手翻訳の案件をMTPEに移行する際、どこの会社も一番翻訳について知っている翻訳者の意見を聞くことがないということです。もっと正確に言うと、MTの品質を聞いてくるなど一応翻訳者を尊重しているふりはしますが、単価の値下げは不当だという意見は決して聞き入れることがなく、結局は「今だけ金だけ自分だけ」なのです。

