大好きな馬の死を経て思うこと

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馬&乗馬
UnsplashJeff Smithが撮影した写真

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今年はひとつ、とても悲しいことがありました。

それは私が乗馬を始めるきっかけになった、すごく優しくて穏やかな馬の急死です。最後見たときはレッスンが終わったあとで、その日はその馬とは別の馬に乗せてもらってたけど、馬房で元気そうに普通に立っているところを見たし、年齢もまだ若いのを知っていたから、まだまだ会えるんだと何の疑いもなく思っていました。

だから乗馬クラブから訃報の連絡がきたときは言っている意味がわからなかったです。この前元気そうにエサを食べている姿を見たのに、それから間もなく息を引き取ったって…?嘘としか思えませんでした。何かメッセージを読み間違えているのではないかと、何度も読み返しました。

乗馬体験での楽しい思い出、初めての馬へのおやつ、優しい顔、初めての屋外レッスン、鳥に驚いて動いて怖かったこと、レッスン後のお手入れ中に「うまく乗れなくてごめんねー」と言ったら「え?大丈夫だよ」みたいな顔でこっちを見てくれたこと(私の思い込みかもしれないけど)、嫌がりもせずおとなしくお手入れさせてくれたこと…たくさんの幸せな場面が勢いよく、次々に私の頭の中で再生されました。それと同時に、もう二度と会えないということがどういうことかわかってきて、とても辛い気持ちになりました。

夜ご飯を食べようとしていたけど、訃報の衝撃で食欲は完全に消えてしまい、その代わりに涙がボロボロと流れてきて3時間ぐらいずっと布団で泣いていました。

私はめったに泣かない人なのですが、馬のときは違いました。ほんとうに涙が止まりませんでした。乗せてもらった回数は片手で数えられるほどなのに。今は少し心が休まったからこうやって文章をかけているけど、これを書きながらも目がうるうるしてくるし、もう会えないと思うと胸が痛いし、こんなに早くお別れが来るならもっと撫でてあげればよかった、おやつ持っていけばよかったと後悔も押し寄せてきます。

少し時間が経った今になって思うのが、馬という動物がいつの間にか私にとって友達、親友、兄弟のような存在になっていたということです。定期的に馬に会うようになってまだ間もないのに、馬は多大な影響を私に与えてきました。本当に優しいしかわいいし、賢くて寛大で尊敬できる馬ばかりで、可能なら24時間ずっと側にいたいぐらい好きな動物になりました。

そして「馬」と一口に言っても一頭一頭見た目も性格も全然違っていて、感情豊かで、人間と同じなんだと感じました。だから、馬が一頭亡くなり、新しい馬が来たとしてもその馬は前の馬の代わりにはなりません。二頭とも全然違う個性を持った尊い存在です。

馬の死後しばらくしてから乗馬クラブに行くと、一見したところ前と変わらない日常がありました。会員さんがレッスンを受けたり、馬の準備や手入れをしたりしていました。スタッフは馬の世話にレッスンにととても忙しそう。亡くなった馬の馬房には別の馬が移動してきました。その子もとてもかわいくて優しくていい子で、すぐに大好きになりました。

私はまだ乗馬を始めたばかりでスタッフさんのこともよく知らないけど、あんなに大きくてかわいい馬が亡くなるのを間近で見て、悲しくないわけないし、普通に働いているように見えて心の中ではいろいろなことを思っているのだろうと思う。ほんとうは耐え難い心痛なのではないか?でもスタッフだし、馬が亡くなっても営業してお客様が来たらレッスンしないといけないわけで、ずっとめそめそしてられないということなのだと思う。悲しみは心の中に隠して仕事をしているのだと思う。

会員さんとは接する時間がほとんどないのだけど、大半が私よりずっと乗馬歴が長そうだし、私と同じく動物好き、馬好きのはずなので絶対悲しかったと思う。

私は乗馬を始めて間もなくして落馬と馬の死という強烈な体験をしました。最初はなんでこんな不運が続くのだろうと思いましたが、辛い経験をしたことで、馬という大型動物と一緒にするスポーツは楽しい面もあるけど落ちた場合の痛みや突然やってくるお別れの痛みを味わわないといけないこともある、ということがほんとうによくわかりました。

このことを実感できてから馬に乗せてもらうのとそうでないのとでは、1回1回のレッスンに対する気持ちが違うと思います。馬が亡くなってからというもの、レッスンで乗せてくれた馬たちとのお別れも突然なのかもしれないと思って、一期一会だという気持ちを持ってレッスンを受けたり、お世話をしたりするようになりました。

レッスンが終わり馬房に馬を戻して帰るとき、また会えるのか不安な気持ちが湧き上がってくるようになりました。でも、馬であれ人間であれ、一回会った生き物とまた会える保証なんてどこにもないというのが真実です。会っているとき、そのときがすべてです。

こんなことを考えながら、馬との大切な思い出と感謝を心に抱きつつ、今後も私の乗馬チャレンジが続いていきそうです。

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