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人手翻訳のレビューで気が付いたミスについてまとめてみました。
タイポが多い
タイポはけっこう発見します。
自分の翻訳を終えてレビューしているときや、Wordのスペルチェックをかけたときにも発見することがあります。
昔、タイポの混ざった訳文をそのまま納品してしまい、レビューアーの人から注意されたことがあり、それ以来とても気を付けているので、同じ苦情がきたことはありません。
それが、ほかの翻訳者の訳文チェック中に、同じファイルの中に数か所タイポが混ざっていたりするので意外でした。
いくつも混ざっているタイポのせいで「もしかして不注意による訳抜けや誤訳もけっこう混ざっているのではないか?」と気を張りました。
トライアルでは、誤訳や訳抜けがなかったとしても、タイポがひとつでもあると落ちてしまう可能性が高いと聞いたことがあり、タイポは決して軽視していいミスではないです。
レビューを担当する前はタイポを直すのは簡単だと思っていましたが、案外時間がかかり、面倒でした。
後工程のレビューアーが読みやすさ改善などに集中できるよう、翻訳の段階でタイポを撲滅しておくことは重要だと実感しました。
抜かすと文の意味がまったく変わってしまう単語の訳抜け
原文の中の重要な単語を抜かしたばっかりに、全然違う意味になってしまっているものがあって危機一髪でした。
これを直さなかったらクレームがくるかもしれないから大変だ、気づいてよかった、と。
私がレビューしたあとの訳文がお客様のもとに届いてしまうので、かなり神経を使います。
別のお客様の企業名とか製品名が混ざっている
訳文に別のお客様の企業名とか製品名が混ざってしまっているケースがありました。おそらく翻訳者が複数の案件に対応していて、混同してしまったのだと思います。とはいえ間違っているのに気づかずに、そのまま納品してしまうのはかなりまずいです。
製品名の綴りの間違いなどもかなり深刻な間違いだと聞いたことがあるので、別のお客さんの企業名や製品名が混ざっているのは、さらにその上をいく致命的なミスだと言えるでしょう。
もしもレビューアーの気付かずにお客様に届いてしまった場合、とても印象が悪くなってしまうように思います。私がお客さんだったら、名前を間違えられるのはショックかもしれません。
このようなミスは今まで見た間違いの中でも深刻なほうだけど、うっかりしていたり、疲れていたりすると誰でもやりかねないのかも。レビューをしていると、翻訳の際は自分も気を付けようという気持ちが一層増します。
日本語として意味が分からない
何度訳文を読んでも意味が分からない箇所というのがあります。
そして原文と比べてみても、どうしてそうなったのか分からないのです。
こういうのは一から訳し直すしかないです。
レビューアーの負担にならない翻訳を目指す、適正な単価を最初に設定する
レビューを担当するようになってから、レビューアーの負担にならない翻訳を納品することの大切さがすごくよくわかるようになりました。
そして、翻訳者はレビューアーの負担にならないレベルの訳文を作るのに見合った翻訳単価を最初から設定すべきです。これはすごく大事なことだと思います。お金はすごく大事なポイントで、労力に見合ったお金がもらえないと人間はやろうとしないのが普通です。たまに日本語ネイティブとしてのセンスを疑うような文章を書く人がいますが、たぶん単価が安すぎて訳文を練ろうなんて言う気にならないのだと思います。
レビューアーの負担にならないレベルの訳文とはタイポがなく、原文の意味を正しく反映しており、スタイルガイドが遵守されており、日本語として読んで苦しくない文章だと思います。このレベルを目指すとレビューアーの負担は減って、微調整などに集中できるので最終的な訳文の仕上がりがとても良くなると思います。
レビューアーの単価はワード単価の場合、翻訳の3分の1ぐらいに設定されていることが多いので、質の悪い訳文を納品するとレビューアーは労力のわりに全然稼げなくなってしまいます。
ですので翻訳者は最初から単価を高くして、レビューアーが気持ちよくレビューできるレベルの訳文を作るべきです。そうすればレビューアーやお客様からの評価も上がるので、継続的に仕事がもらえるという好循環が生まれやすいと思います。

