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最近レビューも担当することが増えてきたのですが、人手翻訳のレビューが想像以上に楽でしかも勉強になるので、引き受けてよかったと思っています。大型のMTPEをやったあとだったので特にそう感じました。
人手翻訳のレビューでは修正があまりいらない
「とんでもない翻訳にあたってしまい、多数のセグメントで訳し直しが必要になった」といったレビューアーの話もけっこう聞いたことがあるので、あくまでも一定レベル以上のスキルを持っている翻訳者による翻訳に限った話ではあると思いますが、MTPEと比較して直しが圧倒的に少なくて済みます。
たまに混ざっている誤字・脱字を修正したり、冗長なところをすっきりさせたりといった作業が中心でした。
誤訳は全然ないか、誤訳なのかどうか微妙なものだけで、意味が大きく変わってしまうような誤訳が混ざっていることはほぼなかったです。
MTのような奇想天外な訳を出してくることはまずない。
ひとつのセグメントだけでなく、文章全体を意識して訳してあるので、MTと比べて断然読みやすいです。
MTの訳抜けと人間の訳抜けの違い
なんでMTPEってこんなにイライラするんだろうと前から思っていたのですが、理由のひとつに訳抜けの仕方が人間と違うということがあるように思います。
人間による訳抜けを修正するときは、納品された訳文のどこかにその訳抜け部分を差し込めばそれで済みます。大幅な変更は必要ありません。
でもMTの必殺技は、原文の訳しにくかった部分は存在しなかったことにして、わかる部分だけ訳して適当にそれっぽくつなげて、原文とは意味が違う訳文を完成させてごまかすことです。
これを直すのは時間かかる。というか、完全に誤訳になっているわけだから、一から訳し直さないといけません。こうなると、MTは役に立つどころか、翻訳者の貴重な時間を奪って足を引っ張ってるだけですね。
MTがごまかして出してきた訳も、訳文だけ読めば正しい日本語になっていることが多いので、翻訳や英語(外国語)のことをよく知らない日本人は「MTすごい!翻訳者いらない」と、思ってしまうのだろうと思う。
実際には致命的な誤訳が混ざっていることもあります。
人手翻訳のレビューは翻訳者の個性が見えておもしろい
何名かによる翻訳のレビューを繰り返すうちに、読んだだけで誰が訳したかわかるようになりました。
好んで使う単語や、訳し方の特徴(2文に分けるのが好き、など)がだんだんわかるようになります。
当然私とは訳し方が違うので、こういう訳し方もあるんだな、確かにこうするとわかりやすいな、など勉強になることが多いです。
今までレビューはやや敬遠してたけど、場合によってはいいなと思うようになりました。
MTを読むのはおもしろくないし勉強にもならない
勉強になるのは、自分のスキル以上のスキルを持っている翻訳者の訳文を読んだときです。
自分より下手なMTの訳文を読んでも、イライラしてくるだけで勉強にはなりません。
肝心なのは、人間にとっても訳すのが難しいところでMTが見事な訳を出してくれるかどうかだと思いますが、それは難しいようで、精度の低い適当な訳や誤訳を出してきます。こういう訳が自分の勉強になるということはないです。
人間の翻訳者とは違う奇妙な誤訳をしてくることがほとんどなので、読んでいると疲れて機嫌が悪くなってくるし、とにかく早く納品して解放されたいと思う。
人手翻訳に求められるレベルが非常に高いことを知っているので、自分の言語感覚がおかしくなりかねないMTPEにはやっぱり近づくことはできないな、と思うのです。