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MTPEがマーケティング翻訳の分野にも少しずつ広まりつつあるのか、タイトル通り、ある案件が人手翻訳からMTPEに切り替わることになり、それに伴って単価を半分未満にしてほしいと言われました。
その条件で誰がやるのか
純粋に誰がその条件でやるんだろうって思う。その条件でやるくらいなら全然違う職種のバイトでもしたほうがまだ稼げるのではないだろうか…
MTの精度はまだ低いし、MTPEは全然楽な作業ではなく、むしろ人手翻訳よりも大変なことが多い。
だから「MTPEを翻訳単価の半分未満で」というのは「これまで通りかそれ以上に負荷の大きい仕事を、半分未満の単価でお願い」と言われているとしか思えないんですよ。
その案件はすごく難しくて、英文読んだだけでは何を言ってるのか正確に理解できないところが多々あり、調査必須。さらに、マーケティング文書にふさわしい日本語にするための推敲にすごく時間がかかる。そんなタイプの文書をMTPEにしちゃって本当にいいの?ってびっくりしました。
そのうち人手翻訳に戻るのではないだろうか、と思ったりもします。単価がよければ、MTPEでも翻訳者は対応してくれるかもしれないけど、提示された条件で納得する翻訳者は多分少ないと思います…。
翻訳者になりたての人を狙って勧誘(?)していくのだろうか。それも悪質だなーと思うのが、MTPEでは人手翻訳で期待されるような訳文を作る能力はおそらく育たないからです。むしろ、その過程の邪魔にしかならないように思います。
これもまた分野によるのかもしれませんが、とりあえず、マーケティング文書に関しては、私はそのように思います。
MTPEで求められる品質やMTの品質もわからないまま、一律料金を設定するのは×
MTPEは時給のところもあるけど、ここは一律の1ワードあたりの料金。
MTPEは、お客様ごとに求められる品質が違っていて、「MTを最大限活用すること。意味が通じて普通に読めるのであれば訳文の改善はしないでほしい」というところや「人手翻訳レベルに仕上げてほしい」というところまで、いろいろありました(一部を除いてすべて嫌になったので、今は基本やりませんが)。
MTの品質もいろいろです。
MTの品質やスタイルガイドなどを確認したうえで、案件ごとに1ワードあたりの単価を決められるのであればまだわかります。
でも今のMTやMTPEの実情を踏まえると、一律の1ワードあたりの料金を決める気にはとてもなりませんね。やるとしたら時給で、実際にかかった時間分を支払ってもらいます。
MTPEだけでなく翻訳やレビューなどすべてに言えることですが、安い料金で引き受けないことはすごく重要だと思います。
MTPEばっかりになる?
MTPEは確かに増えているなあとは思いますが、まだ人手翻訳の案件もたくさん残っているように感じています。これも分野によるのでしょうけど。
将来のことは全然分からないです。MTPEは増えていると聞いていますが、その過程で「やっぱり人間の翻訳のほうが良いね」と思う人が増えだして、人手翻訳の需要もそんなに減ることなく残る、ということもあるかもしれないし。
MTPEばっかりになる可能性も否めないなか、「MTPEだらけになった場合にMTPEをやりたいか」と言われればやっぱりNOだなと。単価が翻訳と同じだったらあり得るけど、半額とかそれ未満では嫌ですね。
だから今後、翻訳以外の仕事をする可能性も普通にあるなあとは思います。
私は別にMTやMTPEを全否定しているわけではないのですが、問題はMTPEをする人の待遇が非常に悪いということと、MTPEによって日本語の表現力が下がる可能性がかなり高いということだと思っています。
それから「MTの下訳が入っているから作業は簡単だろう」などという勝手な思い込みで翻訳者の単価を下げることには大反対です。まずは実際に作業している翻訳者の意見を聞いてほしいものです。