フリーランス翻訳者として感じてきた、翻訳や翻訳者に関する勘違い・誤解いろいろ

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翻訳
UnsplashJac Alexandruが撮影した写真

こんにちは、アンです(プロフィールはこちら  )。

私は翻訳を本業としているのですが、自分の職業を聞かれた時に「翻訳者です」と答えるのが実はけっこう面倒です。

翻訳の仕事や、翻訳者のことってあまり知られていないんだなあと感じるからです。

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産業翻訳者がいることを知らない

すごく意外だったのですが、産業翻訳者の存在を知らない人って案外いるんですよね。

とある超有名大学を卒業した坊ちゃんみたいな人に、私の仕事は翻訳だと伝えることがあったのですが、まず最初に聞かれたのが「えっ!?翻訳!!すごいですね。どんな本を訳してるんですか?」でした。

その後、私は産業翻訳者であって本を訳しているわけではないと説明したのですが、なんかうまく伝わっていないような表情されました(笑)。

同じような反応をしてきた人はこの人だけではありません。以前やっていた習い事でも、翻訳の仕事をしていると言うと、まず「本を訳しているの?」と聞かれました。

出版翻訳者よりも産業翻訳者の方が数が多いと思いますが、翻訳のことを何も知らない人にとっては「翻訳の仕事をしている=本を訳している」ってことになっているみたいです。

英語がペラペラということになっている

こういう反応もとても多くて、言われるたびに、聞かれるたびにちょっと疲れます。ああーまたか、と思うんです。

そもそも「英語がペラペラ」ってどういう状態を指すのかよく分からない。

おそらく流暢によどみなく話せる状態を言っているんだろうけど、自分に馴染みのない話をされたら、途端についていけなくなる、話せなくなるのは何語でも同じことですよねえ。

翻訳の仕事を本格的に始めるようになってから「日本語すらペラペラになることは難しい」と感じるようになったので、世間一般でよく言われる「ペラペラ」がただの虚像にしか思えないんですよね。

で、この前も銀行に行った時に同じことを言われたのです。

書類に職業を書く欄があったので「翻訳者」と書いて渡したら「翻訳をやってるんですか?何語のですか?英語?っていうことは英語がペラペラなんですね?」て興味津々な感じで聞かれました。

こういう時は「はあ。」とか適当に答えて逃げます。

優雅に仕事をしているという勘違い

「翻訳良いよね!飛行機に乗りながら仕事できるでしょ!」とか言われたことあります。なんか、飛行機に乗りながらコーヒー片手に優雅に仕事できると思っているらしい…。

飛行機で仕事したら周りの乗客に内容見られるから、機密保持の点からいってまずアウトだと思う。

実際には仕事部屋にこもって、場合によっては夜遅くまで必死こいて訳すことがあるのです。この姿って優雅ではないと思う。

でももしかしたら優雅に働けている翻訳者もいるかもしれないので、全員がこんな感じと言っているわけではないです。

翻訳という仕事を軽視している

これはちょっと忘れられないことなのですが。

とある会社のとある人物が私との会話の中で、私を「ただの翻訳者」と言ってきたことがあって、無礼だったのでビックリしました。

多分この人の頭の中では、「翻訳=単語の置き換え」とか「翻訳=英語が少し分かればできること」ということになっているのでしょう。

こういうタイプに翻訳がどういうものかとか、翻訳者がどういう勉強をしているかとか、翻訳の難しさなど、説明してもなかなか伝わりそうにないと感じています。

「機械翻訳が発達してきたから、翻訳者の仕事はなくなる」と、知ったかぶりでベラベラ喋りだす、翻訳と何の関係もない人々も同じです。

だから私としては、こういうタイプの人はお望み通り、すべての文書に機械翻訳を使って、失敗すればいいと思っています(笑)。だって、そうでもしないと理解できそうにないんですもの~

こういうタイプの人に、翻訳者が低価格でMTPEとか翻訳をする、とかだけはやめてほしいですね。

もしも機械翻訳が素晴らしいもので、人間が本当に不要になるんだったら、それはそれでいいですよ。本当の本当に機械だけで大丈夫ならね。

でも現段階では無理だと感じているので、プロの翻訳者は絶対に必要だと思います。

まとめ

翻訳に関わりのない人って、翻訳や翻訳者のことを誤解しているんだなと感じることがけっこうあったので、この記事を書いてみました。

でも、これは考えてみれば当然だとも思うのです。

私は自分が翻訳の仕事をしているから、色々と知っているけれど、他の職業のことについてはほとんど何も知らず、誤解している可能性があります。

だから私がこういった体験を通して思うのは「思い込みをやめること」と「他者の仕事を尊重すること」がとても大事だということです。

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