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翻訳会社のトライアルに合格してから送られてくる業務委託契約書にサインをするとき、内容にざっと目を通してパパッとサインをして送り返してしまうことが多かった私。
それが最近、先輩の翻訳者の方の意見を聞いて「これからはもっと業務委託契約書の内容を確認しなくちゃ!」という考えに変わったので、この記事ではそんな話をまとめてみます。
業務委託契約書に注意しなければならない理由
業務委託契約書は翻訳会社が一方的に送ってくるもので、そこには翻訳会社にとって都合のいいことが書かれていることもあります。
だからちゃんと読まないと、翻訳者にとってとても不利な条項が含まれているのに気が付かずにサインしてしまう可能性があります。
気を付けるべき条項
すべての条項に目を通し、その意味をよく確認し、自分にとって不利なものがないか確認したほうがいいですね。
以前までは、契約書を適当にしか読んでいなかった私ですが、今は慎重に読むようにしています。
確認する点ですが、たとえば、振込手数料を負担するのはどちらかとか、翻訳料金はいつ支払われるのかなどなど。特に気を付けたほうがいいのはやはり「損害賠償」の項目ではないかと思います。
翻訳者に不利な条項が入っていた場合
「納品物に瑕疵があって損害が発生した場合にはすべての損害を賠償する」などといったように翻訳者にとって不利な内容になっている場合はどうするか。
その時は、その条項を削除してもらうか、または「損害賠償額は委託料金(翻訳料金)を上限とする」といった条件を追加してもらうように、翻訳会社と交渉してみるのがいいみたいです。
具体的にどういった場合に責任が発生するのかよくわからないなど、契約内容に関して不安な点や、不明点がある場合は、翻訳会社に確認してみるというのもいいと思います。
私は実際に確認したことがあります。納品に遅れがあった場合の減額に関する規定に、急病とか災害とか、自分の力でどうしようもない事態が発生した場合にも適用されるのかが明記されていなかったので、気になったので一応聞いてみました。
その結果、そういった場合にはその規定は適用にならないとメールで回答があったので安心できました。メールを記録として残せるのでよかったです。
翻訳会社に確認しても納得できない場合や、交渉が決裂する場合は、契約しないことも検討していいかもしれません。
損害賠償を求められたとしても、普通は翻訳料金が上限
ベテランの翻訳者から聞いた話なのですが、フリーランス翻訳者が翻訳会社経由で仕事を受注して納品した後、もし納品物の瑕疵などによって損害賠償を求められたとしても、補償の上限は、その仕事の翻訳料金になるのが普通なんだそうです。
たとえば5万円の仕事をしたら5万円が補償の上限です。
私が結んだ契約書の中には、上限額が明確になっていないものもあったので、本当はここに上限額も追加しておいた方が安心のようです。
補償の上限額を記載しておいたほうが安心ということは、他の職種のフリーランスの方も言っていました。
これまでサインしてきた業務委託契約書を見直してみた
業務委託契約書についてそこまで真剣に考えていなかった私は、ファイルにしまったおいたこれまでサインしてきた業務委託契約書を引っ張り出し、内容を見直してみることにしました。
その結果、日本の翻訳会社と結んだ契約書は大丈夫そうだったのでちょっと安心しました。
ただ、今ほとんど取引がない海外の会社と結んだものには、一部かなり不利になっている条項がありましたので、この際に登録解除しました。
そこの翻訳会社からは、まったくと言っていいほど依頼がこなかったので、確認するまでもなく、登録解除でいいかなと思いましたので。
不利な内容がどのようなものだったのかというと「許可なく機械翻訳を使った場合には1件につき50000ユーロ(約780万円)を罰金として翻訳者が支払い、さらに、プロジェクトが完了していたとしても一切の翻訳料金が支払われない」というもの。
この内容はさすがに怖すぎます。機械翻訳使ってないのに「機械翻訳使ったな!」とか言われることだってあり得そうですよね??
よく読まないと、知らないうちにこういうのにサインしてしまいます。
保険に入っている翻訳者もいるみたい
万が一トラブルが発生して損害賠償を求められた時のための備えとして、保険に入っている翻訳者も中にはいるみたいですね。
私が見つけた保険で有名なのは以下のふたつです。ただ、海外との取引は補償の対象となっていないみたいです。入りたい人は問い合わせして色々確認してみてください。
フリーランス協会
フリーナンス
一方で、保険は必要ないと言っている人もいます。個人的には、まともな内容で契約すれば、保険はいらないかなとは思っています。
変更してほしいといってみたけど、契約書のテンプレートにIndemnity条項が入ってるので無理と言われた!
トライアル受ける前に外資系の翻訳会社から英文の契約書が送られてきて、確認したらIndemnity条項が翻訳者にとって不利だったので変えてほしいと言ってみました。
そしたら、「これはテンプレートで、翻訳者全員がサインしてるから」といって変更に応じてくれませんでした。私がもう取引していない外資系の会社にも同じくIndemnity条項がありました。
だから、外国の翻訳会社にはけっこうこの条項が入っていることが多いのかもしれません。
不安なので確認したところ「契約違反さえなければ何の心配もないので安心してください」みたいな返事が返って来ました。
正直「う~ん…」て感じだったのですが、契約内容に「納品物に瑕疵が絶対ないこと」といった無茶な要求はなかったので、だったら大丈夫なのかなと思って、仕方なくサインしました。
会社のサイズは小規模ではなさそうだったので、かなり多くの翻訳者が同じ契約書にサインしているのだとは思います。
こういう風に、契約内容の変更に応じてくれないこともあるようですが、条項について不安な部分があったらサインする前に質問し、よく考えた上でサインするかしないか決めたほうがよさそうです。
Indemnity条項の例
私が見たIndemnity条項に似たものと、それに関する外国の翻訳者のやり取りを見つけたので、
リンクを載せておきます。↓
Accepting unlimited indemnity!?
私が翻訳会社に問い合わせた時の回答も、ここに出ているのと似たような感じでした。
Indemnity条項は欧米ではけっこう見かけるものみたいなんですけど(実際、外国のサービスとか利用する時の利用規約にも含まれていることがあるんです)、やっぱり外国の翻訳者も気になるみたいですね。
不安になってしまったら、契約書にサインした後に確認するというのもあり
契約書にサインする前に不明点などを確認したほうがいいと思いますが、以前の私のように、よく読まずにサインしてしまった、内容がよくわからないままにサインしてしまったという時、不安になってきたら、翻訳会社に確認してみて大丈夫だと思います。
私は確認したことあります。やっぱり「テンプレートだから変えられません」と言われたのですけど、メールでの説明を読んだところ、無茶な要求をされているわけではなさそうだったので、そのまま取引は続けました。
記録できるようにメールで聞くのがいいです。
トラブルや不安があった場合の相談先
フリーランスとして働いているときに何かトラブルや不安があったときは、フリーランス・トラブル110番というところに無料で相談できるので、これも覚えておくべきですね。
フリーランス・トラブル110番
私は契約内容についてどうしても気になることがあった時に、こちらの窓口に相談したことがあります。
まとめ
トライアルに合格した後に業務委託契約書が翻訳会社から送られてくる(会社によってはトライアル前に送ってくる)けど、正直読むのがちょっと面倒だと思っていました。
日本の翻訳会社のものは短いのでそこまで大変ではないですが、海外の翻訳会社のものは英語か他の外国語で書かれていて、しかも長いので読むのが大変なんですよね。
私自身は、納品物の瑕疵などが原因で損害賠償を求められたことはなく、求められたという人も聞いたことはないのですが、やっぱり契約書を結ぶうえで慎重になるに越したことはないと思っています。