こんにちは。私は翻訳者のアンです。(プロフィールはこちら)
ポルトガル語で「~ができる」と言いたいときは、saber、conseguir、poderが使えます。
でも、この3つは微妙にニュアンスが違うので、saberを使うべきところでcoseguirを使ったり、poderを使うべきところでsaberを使ったりすると、ちょっとおかしな感じになってしまうため、ニュアンスを理解して使い分けることが大切です。
saber、conseguir、poderの違い
簡単に違いを書いてみます。
saber:可か不可か。権利があるか。許可されているか。
conseguir:達成や成功したかどうか。
saber:技能があるか。
実例の紹介
こういうのは実例を見たほうが分かりやすいですね。まず日本語を読んで、黄色の下線部分はsaber、conseguir、poderのどれを使って書くといいか考えてみてください。
①とても難しい試験に合格できました。
訳例:Consegui passar num exame muito difícil.
この場合は「難しい試験の合格を達成した」ということなので、coseguirが合っていますね。
・passar em~で「~に合格する」
②私はポルトガル語を話せるので、ポルトガルに住むのはそれほど難しくないでしょう。
訳例:Sei falar português, por isso viver em Portugal não será muito difícil.
「ポルトガル語を話すという技能がある」ということなので、ここはsaberがいいですね。
・viver em Portugalで「ポルトガルに住むこと」です。
・ seráはserの一人称の未来形。英語のwillにあたります。
③この記事が理解できなかったの?私が翻訳できるよ。(翻訳するよ、という感じ)
訳例:Não entendeste este artigo? Posso traduzi-lo para ti.(ポルトガル)
Não entendeu este artigo? Posso traduzi-lo para você.(ブラジル)
「あなた」というときにポルトガルではtu、ブラジルではvocêを使うことが多いので分けて書いておきました。「できるよ」ということで、可か不可かの話なのでpoderが適切です。
「この記事が理解できなかった」のところにconseguirを使ってNão conseguiste entender este artigo(ポルトガル)あるいはNão conseguiu entender este artigo(ブラジル)としても意味は通じるんですが、なんとなくくどい気がします。だからそこでは使いませんでした。
traduzi-loの部分ですが、これはtraduzirという「翻訳する」という動詞の後に指示代名詞のoを置いたものです。
このoは「それ」とか「あれ」という意味で、前に出てきた男性名詞を指しています。この場合はeste artigo「この記事」を指しています。書くときは、traduzir-oとはせずにtraduzi-loとします。
④アーティストのダンスを見るのは好きだけど、ダンスはできない。
Gosto de ver dança de artistas, mas não sei dançar.
私はダンスを見てるのがとても好きなのですが踊れないのでこの例文を思い付きました(笑)。
「ダンスする技能がない」ということです。だからsaberが良いですね。ここにpoderを使ってNão posso dançar.とすると「ダンスする権利がない」とか、「ダンスする権利がない」みたいに聞こえてちょっとおかしくなります。
でも、こういう場合はpoderが使えます。
Só saí do hospital ontem. Não posso dançar.
「昨日退院したばかりです。ダンスはできません」
ダンスができないのは昨日退院したばかりで、病み上がりだからです。この場合は可か不可かの話なので、poderがいいですね。ダンスの技能がある人でも退院したばかりでダンスができないなら、poderが使えます。
⑤図書館の中では大きな声で話してはいけません。
Não pode falar alto dentro da biblioteca.
「話してはいけない」つまり「話すことは許可されていない」ということなので、
ここはpoderでいいでしょう。
・falar altoで「大声で話す」
まとめ
saber、conseguir、poderの使い分けについて説明しました。
ポルトガル語に初めて接した大学生の頃、ポルトガル語では「できる」の微妙なニュアンスの違いをちゃんと言い表してるんだとちょっと感動した記憶があります。日本語や英語と違う部分があるから難しいですが、だからこそ面白いです。