こんにちは。私は翻訳者のアンです(プロフィールはこちら)。
今回は私が日々の翻訳の仕事で愛用している類語辞典についてです。
類語辞典を使いだした理由
日頃から語彙力が弱いように感じていたからです。これは翻訳のときだけに限らず日常生活でもそのように感じていました。
何か言いたいことがあって、それを家族や友達に伝えようとするけど、自分の口から出てきた言葉がなんだか自分の言いたいことと合ってないように思う。そういうことが今でも度々あるのです。
それをどうにかしたい!そのためには辞書だけでなくて類語辞典を持っていると良いかもしれない、と思って買うことに決めました。
産業翻訳をしていると語彙力が乏しくなるような気がする
他人の書いたものを訳すのが翻訳者の仕事だから翻訳者自身が一から文章の内容を考えて書くわけではありません。
だから作家やライターとは大きく違うところがあります。
とはいっても翻訳者も大量に日本語を書かないといけないので、仕事をするうちに表現力が磨かれていくだろう…と、普通は思うはずです。
確かに翻訳の仕事をするようになってから文章を書くスピードが以前以上に速くなったかもしれないとか、思わなくもないのです。
でも作家ほどの表現力はないし、ただ翻訳の仕事をしていてもそういう優れた日本語の力は身に付かないと最近思うようになりました。
産業翻訳では用語集やスタイルガイドなどのルールに沿って翻訳していきます。例えば、”inspired”が出てきたら必ず「インスパイアされた」と訳す、”wonderful”は工夫した訳にしなくていいからいつでも「素晴らしい」と訳す、などなど。
本当は”inspired”も”wonderful”も状況によっていくつも訳が考えられると思います。
でも、用語集があるとお客さんや翻訳会社からクレームがこないように用語集に従う必要があるので、他の訳し方の可能性とかあんまり考えていません。
用語集とか過去訳に合わせる作業をしていると、「Aという単語があればA”と訳す」というのが頭の中に固定されてしまうような気がしてます。
翻訳の仕事をしていれば自然に語彙力が高まるわけではなく、語彙力を高めるための努力を翻訳の仕事とは別にやらないと、豊かな表現力が発揮された良い文章はなかなか書けないように思います。
作家ほどの表現力や豊富な語彙力を持っている翻訳者って多分ほんの少しではないかと思います。
今後機械翻訳がどんどん導入されてくると、そういうレベルの翻訳者にならないと生き残るのが厳しいのかなと思っていたりもします。
私が買った類語辞典
私が買ったのは講談社から発売された「類語大辞典」です。
多分、新品はもう売ってないのではないかと思います。
当時は7000円以上する辞典だったみたいですが、新品同様の状態のものを中古で十分の一ぐらいの値段で見つけたので、これにしました。
類語辞典はたくさんあるようなので、いろいろ見て自分に合うものを選ぶと良いですね。
使ってみた感想
想像以上におもしろいです!知らない日本語や自分が間違って理解していた日本語もあって、学ぶことが多いです。
母国語である日本語もとても難しいですね…日本語さえ難しいのに、それに加えて外国語まで使わないといけない翻訳とか通訳は大変すぎる仕事だと思いますが、まあこれからも頑張ります。
翻訳の仕事をしていて「〇〇という単語が思い浮かぶけど、この場面ではなんかふさわしくない気がする。もっと良い表現があるはずだけど思い浮かばない!」という時に類語辞典が活躍します。
「用語集に載っているからいつも○○と訳している」という場合にもその○○を類語集で調べれば、
用語集に載っている訳以外にどのような訳の可能性があるかが分かってくるのでおもしろいです。
この類語辞典はとても分厚い本で「日本語ってこんなに単語がある言語なんだ!」と感動してます。
まとめ
類語辞典は翻訳者にとって強い味方になってくれると思います。
紙の類語辞典を買わなくてもオンラインで無料で使える類語辞典もあるようなので、そちらを見てみるのも一つの手でしょうね。
ただ紙の類語辞典のほうがオンラインのものと違って定義が詳しく書かれていて信頼性も高いと思うし目が疲れないので私は紙のものを選びました。