こんにちは。私はフリーランス翻訳者のアンです(プロフィールはこちら)。
フリーランスからの大反対の声が無視されてインボイス制度が導入されてしまったことや、今までにない円安の影響で、海外の翻訳会社との取引をメインにしたいと考えている私です。ただ、そこで問題が。
というのは、海外の翻訳会社へ登録する際、TIN(Tax Identification Number=納税者番号)を求められることがあるのですが、何を伝えればいいのかよくわからないのです。
この記事では、翻訳者として登録する際に海外の翻訳会社からTINを求められたとき、私がどのように対応してきたか、それぞれの会社がどのような対応をしていたかについてまとめました。
海外の翻訳会社からTINやマイナンバーを求められた
海外の翻訳会社に登録するとき、TINやマイナンバーを求められたことがあります。
●翻訳会社Aの場合●:フリーランス翻訳者として登録するときにTINとしてマイナンバーの提出を求められました。マイナンバーの提出には抵抗があったので何も提出しないでおいたら、後ほど連絡があって「TIN番号なしでは請求書を発行できないので登録を完了できない」と言われてしまいました。
マイナンバーの提出が心配な理由を説明しても「登録にはTINが必須で、日本の個人の場合はマイナンバー以外にはない」の一点張りでした。
TINは厳重に管理している旨の説明を受けてからも提出は嫌でしたが、定期的に仕事をもらえそうだったこともあってパスワードをかけてからマイナンバーを伝えることにしました。
(通知カードなどのコピーは不要でした。番号のみ求められました)
●翻訳会社Bの場合●:翻訳者として登録するときに私が日本在住であることを伝えると、あるフォームの記入を求められて、そこにTIN番号を書かないといけませんでした。
翻訳会社に問い合わせたところ、このフォームは二重課税を回避するために必要なもので、税務署から確認がきたときのみ、翻訳会社から税務署に見せる必要があるとのことでした。
現地の税務署のホームページを見ると確かにそのフォームはありました。だから翻訳会社の対応自体は間違ってないみたいです。
TINのところにマイナンバーを記入して、パスワードをかけて送ったのですが、よく考えたら相手から「マイナンバーを記入してください」と明言されたわけでもないので、マイナンバーを書かなくても良かったかな…とちょっと後悔してます。
ただ、TINのところがわざわざハイライトされていて記入必須なのかと思ってたので書いてしまったんですよね…。
このフォームには有効期限があって、すでに切れているのですがまだ更新してないです。マイナンバーを書くのは嫌なので、日本にTINが存在しないことを記載して他の欄だけ埋めようかなとも検討中です。
ちなみに、不安になったのでこの翻訳会社にも管理のことやフォームの保存期間などを確認しておきました(めんどくさい人と思われた可能性もありますが大事なことなので)。ちゃんと返事は返ってきました。
回答では、罰則がとても厳しいとされるGDPR(EU一般データ保護規則)に沿って対応しているとのことだったのでまあ安心感はないことはないです。日本よりも欧州のほうが個人情報保護は進んでいるのかもしれません。
●翻訳会社Cの場合●:こちらの翻訳会社にも日本人の場合はマイナンバーを教えてほしいと言われました。
マイナンバーは提出したくないのでどうしよう…とと思っているうちに、なぜか登録が完了していました。催促されたりもしなかったのでマイナンバーは必須ではなかったみたいです。この翻訳会社からは、その後もマイナンバーの提出は一切求められていません。
●その他の海外の翻訳会社●:マイナンバーは求めてきません。免許証の番号も求めてきません。名前や住所や振り込み先など、必要最低限の情報提供のみで登録でき、仕事もできています。過度な個人情報の提出を求めないこのタイプの会社が一番やりやすいです。
ちなみにこのタイプの会社は、個人情報の提出の面でストレスがないだけでなく、プロジェクトマネージャーの日ごろの対応が感じよかったり、ワークフローも効率的で無駄がなかったり、ほかの面でも優れていることが多いと個人的に感じています。
翻訳会社によって対応が違う
登録する翻訳者からどこまでの個人情報の提出を求めるのか、TIN提出は必須なのか、必須の場合日本人からはマイナンバーを求めるのか、などは海外の翻訳会社によって違うということがわかりました。
結局、TINってマイナンバーなのか?
TINはTax Identification Number(納税者番号)です。TINについていろいろ調べてみましたが、外国のTINは納税情報の管理に焦点を合わせたもののようです。
日本の総務省のHPも確認しました。日本のマイナンバーは税の分野だけでなく「社会保障、災害対策の分野でも情報を管理するためのもの」だそうです。健康保険証として使うとか、免許と一体化するとか、私たちが望んでないことを強行しようとしています。ですから納税情報のみを管理するための海外のTINとは全然違うはずです。
海外の翻訳会社にTINを聞かれたらマイナンバーを伝えるべきか
TINを聞かれたら、まずは「日本にはTINは存在しない」と伝え、手続きに問題がなければ、提出しないのが一番安全です。個人情報の提出先は少なくすればするほど、予期せぬ被害に遭う可能性が小さくなります。
それか、聞かれてもスルーしてみるというのもありです。上に書いた「翻訳会社Cの場合」のように、マイナンバーの収集を必須としていない会社の場合だと、それでもうまくいきます。ただ、何が何でも収集するという方針の会社も存在するみたいなので、それに当たるとスルーしてもあとから催促の連絡がくる可能性があります。
「TINがないとどうしても登録完了できない」と言われたら、なぜ必要なのか説明してもらい、ほかの番号(たとえば運転免許とか)ではだめか確認するというのもありですね。
マイナンバーでないとだめと言われたら管理について確認したりとか、しつこめに確認しといたほうが良いと思います。めんどくさい人、うるさい人と思われても結構。こちらの大切な個人情報ですから。守るためにはどんなにうるさくてもOK!
マイナンバーに限らずすべての個人情報は簡単に伝えるべきではないですが、伝えることにした場合、マイナンバーはとても大事な情報なのでくれぐれも厳重に管理してほしいということも担当者に念押ししておくといいと思います。
あと、聞かれるのはマイナンバーの番号だけで、原本のコピーとか求められたことはないので、自分から進んでコピーを送ったりするのはやめておきましょう。
マイナンバーのコピーだけでなく、その他身分証明書のコピーとかも海外の翻訳会社から求められたことはありません。
追記:私自身は、マイナンバー含め身分証明書のコピー(画像など)を海外の翻訳会社から求められた事はないのですが、翻訳会社によっては求めてくることがあるみたいです。翻訳者さんから聞きました。原本のコピーを送る場合でも、セキュリティ面や、マイナンバーの提出が本当に必要なのかとか、黒塗りできないかとか、慎重に確認してから提出したほうがいいですね。
まとめ
海外の翻訳会社との取引を増やしたいし増やすべきなんですが、登録の際に日本では不要な書類の提出が必要だったり、TIN番号のことがあったりと、悩んだり困ったりすることもあります。
個人情報はどれも大事な情報なので、マイナンバーに限らず簡単に他人に教えることはできないですが、特にマイナンバーは今後もいろんな情報と紐づけされる可能性もあって抵抗があります。
マイナンバーカードが普及していないことから考えても、マイナンバーに抵抗がある人は多いのではないかと思います。
でも、海外の翻訳会社によっては、日本人翻訳者のマイナンバー収集をなぜか必須にしているところもあり、仕事をもらうために提出するかしないかは個人の考えとか直感にかかっていると思います。たいてい、ここは怪しいと思ったらほんとによくない会社だし、ここは大丈夫という気持ちが自然にわいてくるなら良い会社ということが多いです。
税務上の問題でどうしても必要と言われたときには、信頼できる翻訳会社かどうかよく考えて最後は自分の直感で決めるのがおすすめ?というか私はそうしています。