こんにちは。私は翻訳者のアンと言います。(プロフィールはこちら)
私がかつてよく対応していた学術翻訳について少しまとめてみました。
学術翻訳とは
学術翻訳とは、大学の先生や学術的な機関に勤めている人が書いた論文・プレゼンテーション資料などの翻訳です。
文系であれば、社会学・政治学・文学・教育学・経済学といった学問が扱っているテーマについて翻訳し、理系であれば物理学・生物学・医学・工学といった学問領域の文書を翻訳していきます。
私は大学時代に外国語学部に所属してポルトガル語を専攻し、その他に政治学や社会学も学んでいましたので、文系分野の翻訳を担当しています。
ごくまれに理系分野の翻訳依頼も来るのですが、かなり専門的な内容であることが多いので現在では理系案件は引き受けておらず、文系分野の翻訳依頼をメインに担当しています。
どうやったら学術翻訳の仕事をもらえる?
学術翻訳に限らず翻訳の仕事は、翻訳会社が実施しているトライアルに合格して受注するのが定番の道です。私もトライアルに合格して学術翻訳の仕事がもらえるようになりました。
学術翻訳の場合、学士以上の学位を持っていることをトライアルを受ける条件として設定しているところもあります。
これまでに学術翻訳の経験がなくても仕事はもらえるの?
翻訳会社によると思います。私が学術翻訳のトライアルを受験したとき、私には学術翻訳の経験はありませんでした。
しかし、トライアル合格後にすぐに仕事がきました。試用期間が設けられており、その間に何回か翻訳をして、訳文の質が基準以上であれば仕事量が増えることになっていました。
私は無事に試用期間の訳文品質をクリアしたので、それ以降は翻訳案件をもらえる頻度がぐっと増えました。試用期間での依頼数はかなり少なかったです。
私には継続的に依頼が来ているので、学術翻訳の未経験者であってもトライアルに合格し質の良い翻訳をしていれば、継続的に仕事がもらえる可能性は大いにあるのではないかと思います。
学術翻訳はすごく難しいときがある
学術翻訳の案件すべてが難しいというわけではありませんが、難しい場合が多いのは確かです。リサーチもたくさんしないといけない場合がほとんどです。
特に難しいと感じるのは、原文の内容が抽象的なもの、経済の専門用語や概念などがたくさん出てくるものです。
そういった内容の翻訳をするときは、日本語では説明されていない概念であるために英語で調査して、英語で理解することもあります。
また、英語ネイティブが書いたわけではなさそうな英文もけっこう見かけることがあり、そういった英文を訳すのはけっこう時間がかかったりします。
なぜ英語ネイティブによるものじゃないことが分かるかというと、文法的にありえないところに形容詞があるなど、英文法が崩れているからです。
学術翻訳の単価は高くない
学術翻訳では専門的な内容を翻訳するので、単価が高いと思われる人がいるかもしれません。
私自身もそう思っていました。
しかし、意外にも学術翻訳の単価って安くて、私が他に受注しているマーケティング翻訳のほうがずっと高いというのが現実です。
そのためこれから学術翻訳のトライアル受験を考えている人がいるならば、「トライアル受験前に単価はどれぐらいか聞いておいた方が良い」ということをアドバイスしたいです。
もし、自分の希望単価よりも単価が低い場合はトライアルを受けるのをやめて、時間を節約することができます。
私にとって学術翻訳の内容はとても興味深いし、私に合っている仕事だと思っているのですが、学術翻訳の依頼と単価の高いマーケティング翻訳の依頼が2つ一緒に来た場合は、やはりマーケティング翻訳のほうを優先してしまいます。
私は翻訳で生きていきたいと思っているので、これが正しい選択なんだと思っています。マーケティング翻訳も受けられるようにしておきたいので、学術翻訳でいっぱいいっぱいになるスケジュールにはしないようにしています。
まとめ
学術系の内容は難解でも興味深いものが多いので続けたいですが、単価が安すぎるので、正直無理かな…って感じです。
どの道を進むにしても、これまでの経験は無駄にならないと思うので、私は論文の翻訳をしてきてよかったと思っています。